高知県融資制度をご存知でしょうか。この制度は、高知県が中心となって運営している、中小企業者向けの制度融資です。
高知県融資制度には、低金利で長期間融資を受けられるなど、利用しやすさに特徴があります。一般の融資審査に落ちた人でも、申込みは可能性ですので、資金調達を必要としている場合は、利用を検討してみてはいかがでしょうか。その際は、事前に融資要件や融資の内容を確認することがポイントになるでしょう。
本記事では、高知県融資制度の基本情報や融資要件、そして主な融資メニューについてご紹介します。
1. 高知県融資制度とは
高知県融資制度とは、高知県と取扱金融機関、そして高知県信用保証協会らが連携して実施している制度融資です。異なる3つの機関が協力し合い、独自のサービスを提供しています。県は、制度のルールや融資要件を決め、保証料の一部を負担したりしています。そうすることで、高知県融資制度は、一般の融資よりもハードルが低く、利用しやすい制度融資となりました。高知県信用保証協会は、公的保証人の役割を果たしています。利用者は、保証人を必要とすることなく融資に申込みできるという点も、高知県融資制度の大きな特徴の一つと言えるでしょう。
高知県融資制度を利用できるのは、原則として県内に事務所を構え、事業を展開している中小企業者です。高知県は、「中小企業者」について以下のように定義しています。中小企業と見なされるには、以下の表にある「資本金」または「従業員」のいずれかを満たすことが要件です。
・引用:令和3年度高知県中小企業等融資制度大綱(高知県)
https://www.pref.kochi.lg.jp/soshiki/150401/files/2020022200125/file_20213302103040_1.pdf
中小企業者の中でも、
・従業員が5人以下の商業・サービス業を営んでいる人
・その他の業種で、従業員が20人以下の人
のいずれかに該当する人は、「小規模企業者」と見なされます。
高知県融資制度は、すべての業種を対象に融資を実施しているわけではありません。融資の対象外となる業種は、以下のとおりです。
・農業
・林業
・漁業
・金融業・保険業
・風俗業
・宗教法人
・公務
など。
また、保証対象業種に属していても、必要な許認可を取得していない場合は、融資の対象外となりますので、注意しましょう。
2.高知県融資制度の概要
資金調達を必要とする中小企業者と一口に言っても、これから事業を始めるための資金が必要という人もいれば、通常の事業資金を調達するために融資を検討している人もいるなど、その目的はさまざまです。
高知県融資制度には、資金調達の目的別に、融資メニューが用意されています。さらに、融資メニューごとに融資要件などが設定されていて、利用するには各融資要件を満たす必要があります。ここでは、主な融資メニューについてご紹介します。
(1) 創業者等応援融資
創業者等応援融資とは、高知県内で、これから事業を始める、または事業を始めて間もない中小企業者の資金調達をサポートする制度融資です。
創業者等応援融資には
① 創業I型
② 創業II型
③ 創業III型
と3種類あり、それぞれ設備資金または運転資金を融資しています。
創業者等応援融資の融資限度額と貸付利率は、以下のように設定されています。
① 創業I型
設備資金・運転資金ともに上限2,000万円
貸付利率は1.87%以内、または2.07%以内
② 創業II型
設備資金・運転資金ともに上限1,500万円
貸付利率は1.87%以内、または2.07%以内
③ 創業III型
設備資金・運転資金ともに上限5,000万円
貸付利率は2.07~2.47%
創業者等応援融資の融資期間は、①~③ともに7~10年以内です。
(2) 小規模企業融資
小規模企業融資は、県内で事業を展開している小規模企業者に対して、設備資金または運転資金を融資する制度融資です。小規模企業融資の融資限度額は2,000万円に設定されています。融資期間は、運転資金が10~12年以内、設備資金は7~9年以内です。また、小規模企業融資の貸付利率は2.07~2.42%以内、保証料率は0.11~0.55%と設定されています。
(3) 小口零細企業融資
小口零細企業融資は、小規模企業者を対象にした制度融資で、運転資金または設備資金を融資します。
小口零細企業融資の融資限度額は、運転資金・設備資金ともに2,000万円です。融資期間は、運転資金が10~12年以内、設備資金は7~9年以内と、それぞれ設定されています。小口零細企業融資の貸付利率は2.07~2.27%以内、保証料率は0.30~1.27%です。
(4) 特別小口融資
特別小口融資は、県内の小規模企業者に対して、設備資金または運転資金を融資します。特別小口融資の融資限度額は2,000万円、融資期間は7~9年以内です。特別小口融資の貸付利率は2.07%以内、保証料率は0.40%に設定されています。
(5) 新型コロナウイルス感染症対応融資
新型コロナウイルス感染症対応融資は、新型コロナウイルス感染症の影響で悪化した経営を立て直すために必要な資金を融資する制度です。
新型コロナウイルス感染症対応融資を利用するには、以下の要件を満たしている必要があります。
・新型コロナウイルス感染症が原因で、直近1ヶ月間の売上が減った人
・新型コロナウイルス感染症が原因で、今後の売上も減ると予想される人
新型コロナウイルス感染症対応融資を受けるには、原則として、セーフティネット保証または危機関連保証のいずれかに認定されている必要があります。セーフティネット保証または危機関連保証とは、新型コロナウイルス感染症など災害が原因で、経営が悪化した中小企業者に対して、国が実施している保証制度のことです。
新型コロナウイルス感染症に関係している保証には、以下の3種類あります。
① セーフティネット保証4号
新型コロナウイルス感染症の影響で、最近1ヶ月間の売上高が前年同月と比べて20%以上減り、さらに今後2ヶ月間(計3ヶ月間)の売上高も、前年同期と比べて20%以上減ると予想される人が対象です。同じ事業を1年以上継続して営んでいることが前提です。
・参考:セーフティネット保証4号(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_4gou.htm
② セーフティネット保証5号
経営している事業が指定業種に属している中小企業者で、新型コロナウイルス感染症が原因で直近3ヶ月間の売上が、前年同期と比較して5%以上減った人を対象としています。
・参考:セーフティネット保証5号(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_5gou.htm
③ 危機関連保証
新型コロナウイルス感染症の影響で最近1ヶ月間の売上高が前年同月と比べて15%以上減り、さらに今後2ヶ月間(計3ヶ月間)の売上高も、前年同期と比べて15%以上減ると予想される人が対象です。
・参考:危機関連保証(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_crisis.htm
セーフティネット保証または危機関連保証の認定は、事業所のある市町村長が実施します。
新型コロナウイルス感染症対応融資は、運転資金として1億円を上限に融資します。融資期間は、最長12年間利用可能です。
3.まとめ
高知県融資制度の概要と融資メニューについてご紹介しました。高知県融資制度は、高知県と高知県信用保証協会、そして取扱金融機関らが協調することで、低金利で長期間の融資を実現するなど、利用しやすさに定評のある制度融資です。
高知県信用保証協会が公的保証人となり、融資をバックアップするため、利用者は、保証人を必要とすることなく融資に申込むことができます。もし、事情があって一般の融資制度を利用しづらいというのなら、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
融資に関して不安や疑問がある場合は、資金調達の専門家に相談することをおすすめします。専門家のアドバイスを受けながら、自分の条件にあった融資を選び、資金調達につなげましょう。
英国の大学と大学院で社会学、国際政治学、国際関係学を学び、2018年、フリーランスのWebライターとなる。幅広いジャンルの記事を執筆し、得意分野はビジネス、起業、就職、教育。「考えて書く」ことをモットーに、Webコンテンツをはじめ文章構成や要約文、論文、翻訳など、さまざまなライティング活動を展開中。ロジカルシンキングマスター、論理的思考士、WEBライティング実務士の資格を保有。