群馬県の制度融資/中小企業の資金調達のために

群馬県内で、中小企業者向けの融資先をお探しですか? 群馬県制度融資は、群馬県が中心となって実施している融資制度です。銀行に直接申し込むよりもハードルが低いことから、この制度の利用を検討している人も少なくありません。

 

群馬県制度融資は、一人でも多くの中小企業者に対応するために複数の融資制度を設定しています。そのため、融資の利用を検討している中小企業者は、自分の条件にあったものを選ぶ必要があります。

 

本記事では、群馬県制度融資の融資対象者や融資制度の種類などについて、利用を検討している人向けに説明します。

 

1.     群馬県制度融資とは

「群馬県制度融資」とは、群馬県・群馬県信用保証協会・取扱金融機関が連携して実施している、中小企業者向けの融資制度です。運転資金や設備資金など、事業資金の融資を通して、中小企業者の経営活動をサポートしています。

 

三者が連携することで、中小企業者が借りやすいサービスの提供が可能になりました。例えば、金融機関から借り入れする場合、通常は保証人が必要になりますが、群馬県信用保証協会が公的な保証人となるため、原則として第三者保証人は不要です。

 

群馬県制度融資が対象としているのは、群馬県内に事務所を構える中小企業者です。

 

群馬県では、「中小企業者」について、以下のように定義しています。

・引用:制度融資をご利用できる方(群馬県)

https://www.pref.gunma.jp/06/g0910013.html

 

中小企業者の中でも特例として、以下の4業種が規定されています。

・引用:同上

 

「小規模事業者」とは、中小企業者の中でも、事業規模の小さい個人事業主または法人を指します。具体的には、以下のように規定されています。

・5名以下の小売業(飲食店を含む)・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)・卸売業

・上記以外の業種で、従業員が20名以下の中小企業者

 

その他、群馬県制度融資を利用するには、以下の要件を満たすことが必須です。

・農林漁業や金融・保険業、風俗業など、制度の対象となる業種に属していない

・納税義務のある税金を滞納していない

・暴力団とは関係がない

 

2.群馬県制度融資の概要

群馬県制度融資では、中小企業者の融資目的別に、複数の融資制度を設定しています。各融資制度には、融資限度額や利用対象者が設定されていますので、条件にあったものを選ぶことが、資金調達を成功させるポイントと言えるでしょう。ここでは、主な融資制度の概要について説明します。

 

(1)     創業者・再チャレンジ支援資金

「創業者・再チャレンジ支援資金」は、群馬県内で、これから事業をスタートさせたい中小企業者のために、事業資金を融資する制度です。初めて事業を興す人だけでなく、再び事業を始める人も対象に入ります。

 

創業者・再チャレンジ支援資金は、「Aタイプ」「Bタイプ」「Cタイプ」と3種類あり、それぞれ融資要件などが異なります。

 

①Aタイプ

事業をスタートさせてから5年未満の中小企業者で、以下のいずれかの要件を満たすことが必要です。

・展開している事業と同じ業種で3年以上勤務したことがある人

・事業に関連した国家資格などを有する人

・国や自治体が実施した、関連セミナーを修了した人

・「認定経営革新等支援機関」並びに金融機関のサポートを受けながら、事業を展開している人

 

ここで言う「認定経営革新等支援機関」とは、国が指定した中小企業者向けの支援機関のことです。支援金融機関には、税理事務所や金融機関等が含まれます。

 

Aタイプの融資限度額は4,500万円で、融資期間は設備資金が10年以内、運転資金が5年以内と、それぞれ設定されています。

 

②Bタイプ

Bタイプは、県内で事業を始める予定のある人が対象で、「B-1」「B-2」「B-3」と、さらに3つの種類に分けられます。「B-1」タイプは、これから事業を始める予定のある人、または、すでに事業を始めてから5年未満の人が対象です。B-2タイプとB-3タイプは、認定経営革新等支援機関または、群馬県信用保証協会のサポート(創業計画策定など)を受けている人向けです。各タイプの融資要件を確認するには、以下のページが参考になります。

 

・参考:群馬県

https://www.pref.gunma.jp/06/g0910171.html

 

Bタイプは、融資の上限を2,000万円までとして、最長7年間利用できます。

 

③Cタイプ

廃業してから(会社解散も含まれます)5年未満で事業を始める予定がある、または再起業してから5年未満という、中小企業者向けの融資制度です。

 

この融資を利用するには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

 

・今後1ヵ月以内に、創業する予定のある人

・今後2ヵ月以内に、会社を設立する予定のある人

・事業または会社を設立してから5年未満の人

 

Cタイプの融資限度額は1,000万円で、融資期間は最長7年間です。

 

(2)     中小企業パワーアップ資金

この制度は、競争力の強化を目的に、商品開発や経営革新を目指す中小企業者に対して、運転資金または設備資金を融資します。

 

中小企業パワーアップ資金には、競争力強化の目的別に、複数の要件が設定されています。例えば「新事業活動等促進要件(はばたけ群馬推進枠)」は、法律が規定する事業計画の認定を受けた中小企業向けに設定されている、融資要件です。融資要件は以下のとおりです。

 

・引用:中小企業パワーアップ資金

https://www.pref.gunma.jp/06/g0910018.html

 

各事業計画に関連した法律は、以下のページで確認できます。

・参考:中小企業等経営強化法

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000018

 

・参考:中小企業による地域産業資源を活用した事業活動の促進に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000039

 

・参考:中小企業者と農林漁業者との連携による事業活動の促進に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=420AC0000000038

 

・参考:地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=419AC0000000040_20210301_502AC0000000058

 

・参考:流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=417AC0000000085

 

新事業活動等促進要件(はばたけ群馬推進枠)の融資限度額は2億円で、融資期間は12年以内としています。

 

中小企業パワーアップ資金には、その他以下の種類があります。

・「先進性・革新性要件」

・「地域経済活性化要件」

・「商業活性化要件」

・「海外展開要件」

・「がん特区要件」

・「事業承継要件」

・「耐震改修支援要件」

・「職場創造支援要件」

・「SDGs」

 

各要件の詳細は、以下のページで確認できます。

 

・参考:中小企業パワーアップ資金

https://www.pref.gunma.jp/06/g0910018.html

 

 

(3)     小規模企業事業資金

群馬県内で1年以上事業を営んでいる小規模企業者に対し、設備資金または運転資金を融資する制度です。

 

融資限度額は、次に紹介する「小口零細企業資金」とあわせて2,000万円まで、融資期間は最長8年間です。平成25年まで実施されていた、「小規模企業事業資金Bタイプ」の残高がある場合は、その分も融資限度額に含まれます。

 

(4)     小口零細企業資金

「小口零細企業保証制度」に対応した、融資制度です。ここで言う「小口零細企業保証制度」とは、群馬県信用保証協会の100%保証が適用される、「責任共有制度対象外の保証」のことです。

 

小口零細企業保証制度は、県内で1年以上継続して事業を営んでいる、小規模企業者を融資対象者としています。融資限度額は2,000万円までですが、「小規模企業事業資金Bタイプ」または、信用保証協会による保証付き融資の残高がある場合は、その合計額が2,000万円までとなります。

 

(5)     新型コロナウイルス感染症対応資金

この制度は、新型コロナウイルス感染症の影響で経営が悪化し、事業資金を必要としている中小企業者を支援する制度です。融資を受けるには、各市町村長から、「セーフティネット保証4号」「セーフティネット保証5号」「危険関連保証」のいずれかの認定を受ける必要があります。

 

セーフティネット保証と危険関連保証は共に、中小企業信用保険法で定められている要因によって、経営が悪化した中小企業者を支援するための保証制度です。各保証制度の詳細は、中小企業庁のホームページで確認できます。

 

・参考:セーフティネット保証(中小企業庁)

https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_gaiyou.htm

 

新型コロナウイルス感染症対応資金は、6,000万円を上限に、最長10年間利用可能です。

 

(6)     経営サポート資金(新型コロナウイルス感染症対策資金)

この制度は、例えば新型コロナウイルス感染症の影響で、取引先が倒産し資金繰りが悪化したなど、業況を改善する必要のある中小企業者を支援するための、融資制度です。

 

経営サポート資金(新型コロナウイルス感染症対策資金)は、融資要件を「Bタイプ(セーフティネット保証等関連要件)」「Cタイプ(災害復旧関連要件)」「Fタイプ(危機関連保証要件)」の3つに分けて、タイプごとにさらに細かく規定しています。

 

各要件についての詳細は、以下のページで確認可能です。

 

・参考:経営サポート資金(新型コロナウイルス感染症対策資金)

https://www.pref.gunma.jp/06/g09g_00338.html

 

経営サポート資金の資金使途は運転資金または設備資金で、上限はBタイプが6,000万円、Cタイプが6,000万円、Fタイプが3,000万円と、それぞれ設定されています。融資期間は、最長10年間です。

 

3.まとめ

本記事では、群馬県制度融資の概要や融資対象者、融資制度の種類について、解説しました。

 

この制度は、一人でも多くの中小企業者が資金調達を実施して、経営を安定させることを目的としています。直接金融機関から借り入れるよりも借りやすい条件がそろっていますので、融資が必要な場合は、利用を検討してみてはいかがでしょうか。

 

群馬県制度融資には、複数の融資制度が用意されていて、融資条件や利用対象者について、細かく規定されています。どの融資制度を選んだらよいかなど、一人で判断しかねる場合は、資金調達の専門家に相談することをおすすめします。

 

自分の条件にあった融資制度を活用して、資金繰りの問題を解消していきましょう。

 

 

執筆者:佐藤 世莉(さとう せり)

英国の大学と大学院で社会学、国際政治学、国際関係学を学び、2018年、フリーランスのWebライターとなる。幅広いジャンルの記事を執筆し、得意分野はビジネス、起業、就職、教育。「考えて書く」ことをモットーに、Webコンテンツをはじめ文章構成や要約文、論文、翻訳など、さまざまなライティング活動を展開中。ロジカルシンキングマスター、論理的思考士、WEBライティング実務士の資格を保有。