販路を広げるために/戦略的に売り上げを伸ばす方法

既存の顧客だけで取引が完結している場合、それ以上事業の成長は見込めません。そこで業績をアップさせるために重要なのが自社の商品やサービスをより多く販売するためにその経路を広げ顧客を増やすこと、すなわち販路拡大が重要になってきます。以下、販路拡大の手順や方法につき説明します。

 

1、販路拡大の手順

 

販路拡大とは、前述の通り、自社の商品やサービスをより多く販売提供するための経路を広げ顧客を増やすことです。新規顧客を開拓したり、海外市場へ進出したりすることがこれにあたります。

 

それでは、具体的に販路を拡大するための手順をみていきましょう。

 

(1) 自社のサービス、商品を誰が利用するのか

 

第一に、自社のサービスや商品を誰が利用するのか、ターゲットとなる顧客層を絞り込むことが必要です。顧客になり得ない人を対象にその販路拡大を図ったとしても無駄な損失を広げてしまうに過ぎないからです。

 

そして、自社の顧客層を明らかにするには、既存の顧客を分析したり、市場調査により潜在的顧客層を割り出すといった作業が必要になります。

 

このようにして、改めてターゲットを絞り込むことにより、今まで思いもしなかった新たな顧客層がみえてくることもあります。

 

たとえば子ども用に販売したプラモデルが社会人をはじめとする若い男性層に人気を博したり、作業服専門ブランドが、若い女性の間で人気になる例などが挙げられます。

 

(2) 自社のサービス、商品を利用する人の求めるものは?

 

ターゲットとなる顧客層が明確になったら、次に、その顧客層が求める趣味嗜好や行動パターンを徹底的に調査しましょう。

 

すなわち、ターゲットとなる顧客層の求める品質レベルや外観、価格帯、販売場所、支払い方法などを明らかにするのです。

 

たとえば商品の見た目でいえば、ターゲット層が淡い色合いや可愛いものを好むのか、それとも質実剛健を好むのかなど、性別や年代、職業などによりその嗜好はさまざまです。

 

また、決済方法についていえば、比較的若い世代が中心ならスマホ決済が人気ですし、高齢者やクレジットカードを持てない小中学生などがメインであれば、現金、交通系ICカードなどによる決済がメインになるでしょう。

 

(3)  自社のサービス、商品はどこで買ってもらえるのか

 

市場調査などによるターゲット顧客層の分析が済んだら、次は、自社のサービスや商品をどこで買ってもらえるのかについての検討が必要になります。

 

いくら顧客が欲しいと思う商品を販売したとしても、そこがターゲット顧客層にとってアクセスしやすいロケーションでなければ買いに来てもらえません。ですから、彼らがよく訪れる場所および時間帯を的確に選定する必要があるのです。

 

さらに、ターゲット顧客が若年層中心ならば、実店舗よりネットショップをメインとするなど、それぞれの顧客層に応じた適切な販売方法があることを念頭に置きましょう。

 

以上を前提に、販路拡大の具体的方法について説明していきます。

 

2、オンラインによる販路拡大

 

販路拡大には大きく分けてオンラインとオフラインの2つの方法がありますが、まずはオンラインの場合をみていきましょう。

 

(1)  SNSを利用する

 

ターゲット層が若年層中心の場合、Twitterや Facebook、InstagramなどをはじめとするSNSの利用が有効です。最近の若者は、ネットの検索エンジンよりSNSを利用して検索する割合が高くなっているといわれています。

 

したがって、SNSをうまく利用して自社の商品や情報を拡散させることができれば、コストをあまりかけずに新しい顧客を誘致しやすくなります。

 

ただ、あらかじめフォロワー数が多いとか、商品自体にファンが多い、トレンドをうまく掴めているなど特段の事情がなければ、SNSでいきなり大きく情報を拡散させることは容易ではありません。

 

あくまでも他の方法と併用しながら補助的に利用するのが良いでしょう。

 

なお、SNSはふとした投稿をきっかけに激しく炎上する危険もありますので、その点も注意が必要です。

 

(2)  自社のウェブ媒体を利用する

 

販路を広げるため自社のウェブ媒体を利用する方法があります。

 

  • オウンドメディアの活用

 

オウンドメディアとは本来、パンフレットやSNSアカウント、ホームページなど、会社が所有するメディア全てを指しますが、狭義では、会社が自社の事業に関連した情報についてユーザー目線で発信するウェブコンテンツを指すことが多いようです。

 

この狭義のオウンドメディアは、不特定多数のユーザーに向け発信するものですが、新規顧客を開拓するのにも非常に有用です。

 

そもそもオウンドメディアを閲覧するユーザーは、自社の商品や事業に関連する情報に興味を持つ場合が少なくないので、将来顧客になってくれる可能性が高いといえます。

 

このような見込み客にとって有益な情報を定期的に発信することにより、結果的に自社の事業や商品、サービスに興味を持ってもらうきっかけにできるのです。

 

ですから、オウンドメディアにおいては、できるだけ見込み客の興味や関心を惹きつける有益な情報を頻繁に更新して、ターゲット顧客に対する認知度を向上させるようにすることが望ましいでしょう。

 

② 会社のホームページを活用

 

自社のホームページで閲覧ユーザを将来の顧客として誘引する方法もあります。通常、自社のホームページを訪問するのは、社員や取引先など会社の関係者が多いのですが、その他に、関連情報を検索するうちたどり着いた見込み客も含まれます。

 

それら見込み客に対し、自社の商品やサービスをアピールし得る魅力的なサイトを用意したり、また、検索結果でできる限り上位の位置をキープできるよう、SEOを念頭に置いて構成したりする工夫が必要です。

 

さらに、興味を持ってくれた見込み客が自社のオウンドメディアやECショップへ容易にジャンプできるよう、互いにリンクさせておく、メルマガの会員登録などを利用して顧客情報を集められるようにするなどの工夫をしましょう。

 

(3)  ウェブ広告やメルマガの配信を利用する

 

行動経済学上、人は同じ人物や物に接する機会が増えれば増えるほど、その対象に対し好意を持つようになると考えられています(ザイオンス効果)。

 

そこで、まずは頻繁に何度も自社の商品やサービスが見込み客の目に留まるようにすることが重要です。

 

そのためにはコストがかかるものの、ウェブサイト上でバナーなどを表示させるウェブ広告を打つ方法が有効でしょう。

 

また、オウンドメディア・自社のウェブサイトから集めた登録会員に対し、メルマガを配信して、自社の新規商品やサービスを紹介する情報を頻繁に発信することもお勧めです。

 

さらに、こちらもコストはかかりますが、キャンペーンなどを打って友達追加させたLINEユーザーに対して頻繁に情報を発信したり、クーポンを発行したりする方法も販路拡大には有効です。

 

 

(4)  ECショップを利用する

 

ECショップを利用すれば、理論上は世界中どこからでも自社の商品やサービスに興味を持つユーザーを集めることができます。

 

たとえばAmazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの大手ショッピングモールを使えば新規顧客への認知度を高めることができますし、他方、もし他では手に入らない貴重な商品やサービスを手がけているならば、独自のECショップを開いて新規顧客を誘致することも可能でしょう。

 

 

(5)  動画サイトを活用する

 

YouTubeをはじめとする動画サイトの視聴者数は年々増加しており、販路の拡大にもはや欠かせない存在となりつつあります。

 

そして、販路拡大のために動画サイトを活用する方法は主に以下の3つです。

 

  • 自社で動画を作成・配信する

② 動画サイトに広告を打つ

③ 人気YouTuberなどに宣伝を発注する

 

まず、①の自社で動画を作成して配信する場合ですが、動画配信による広告収入を目的としているわけではないので、改めて機材を揃えたり、凝った長時間の動画を作る必要はありません。

 

あくまでも販路拡大の目的に沿う範囲で簡単な動画を作るに留めておくのが無難です。また、できるだけ認知度を高めるため短時間の動画を数多く発信するのがお勧めです。

 

②と③はかなりコストがかかりますので、どの程度販路拡大に費用をかけられるかバランスを考えて行いましょう。

 

オンラインによる販路活用には、このほかにもビジネスマッチングサイトやクラウドファンディングの利用などもあります。方法を1つに絞る必要はありません。ときには専門家に相談するなどしていろいろな方法を積極的に活用してみてください。

 

3、オフラインによる販路拡大

 

(1) 飛び込み営業、テレアポ

 

オフラインによる販路拡大の定番といえばやはり飛び込み営業でしょう。オンラインのつながりが広がりを見せている現代ですが、やはり「顔の見えるつながり」を重視する企業経営者はまだまだ多いのです。

 

同様に、メールやネットではなく直接声でやり取りするテレアポを使うことも有効です。

 

もちろん、顧客側からのアプローチではなく一方的にこちらの都合で行われるわけですから、顧客獲得につながる確率はそれほど高くはないかもしれません。また、先方から冷たい対応をされることもあるでしょう。

 

しかし、これらの方法では直接相手の反応を見聞きできるため、将来の顧客になれるかどうかの判断材料が多いのも事実です。そして、そのようにして見つけた見込み顧客と頻繁に何気ない会話を続け日常的な相談事などに対応していくうちに、信頼関係を築くことができる場合もあります。

 

こうした積み重ねが販路拡大につながっていくのです。

 

(2) 既存顧客や取引先からの紹介

 

既存の顧客や取引先、知人などからの紹介による場合は、飛び込みの場合と違い相手方からも取引希望があることが多く、また、取引先の同業者など、自社の取引と関連した業界の場合が少なくないので、販路拡大の可能性は何倍も高まります。

 

(3)  新聞や雑誌などの活用

 

新聞や雑誌、業界専門情報誌などに記事や広告を載せることでも、潜在的な顧客を誘致できます。コストがかかりますがその分誘引効果は期待できます。

 

(4)  展示会、見本市への参加

 

展示会や見本市は基本的にその業界で興味を持つ潜在顧客が多く集まりますので、大きなビジネスチャンスを見込めます。できるだけ多くの連絡先などを交換し見込み顧客を集めましょう。

 

反面、ライバルも多い可能性がありますので、他社のサービスや商品と違う特性やオリジナリティーをアピールしなくてはなりません。

 

(5)  行政への相談

 

販路拡大に関しては、関係省庁や各地方公共団体、自治体などが主にスタートアップ事業や中小企業を対象に援助や補助を行っている場合が少なくありません。

 

販路拡大全般だけでなく、展示会や見本市への参加費用の補助金の交付など、ピンポイントに目的が絞られたものもありますので、とりあえずは行政に相談してみることをお勧めします。

 

有料のコンサルタントに頼むこともできますが、行政の相談は基本無料であることが多く、随時新しい補助金制度や援助などの情報も得られるのでお勧めです。

 

4、まとめ

 

以上、どの方法も一長一短ありますし、かけられるコストにもよりますが、販路拡大方法は1つに絞る必要はありません。相乗効果などを狙い、複数の方法を併用することをお勧めします。判断に迷う場合は専門家の助けを借りるなどして、自社に最適な方法を見つけましょう。

 

執筆者:豊田 かよ (とよた かよ)
弁護士業、事務職員等を経て、現在は英語講師やライター業務等に従事。得意ジャンルは一般法務のほか、男女・夫婦間の問題、英語教育など。英検1級。