ダイレクトマーケティングの特徴は、直接お客様にアプローチすること。見込み顧客のリストに沿ってテレアポを行う営業活動もダイレクトマーケティングのひとつです。
的確な方法で行えば費用対効果が高くなるのがメリットですが、準備を整えてから実施しないと成果を出せません。ダイレクトマーケティングの正しい手順を押さえておきましょう。
今回は、ダイレクトマーケティングの流れやメリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
1.ダイレクトマーケティングとは
ダイレクトマーケティングとは、顧客と企業が「ダイレクト=直接的」にやり取りするマーケティング手法です。特徴は顧客と企業が1対1で関われることで、一例としてはダイレクトメール(DM)が挙げられます。
既存顧客など特定の相手だけを選び出して送るDMはターゲット設定が明確なので、相手に合わせた宣伝活動ができます。さらに、DMからの流入数を見ればプロモーションの効果が分かります。
テレビCMや電車広告といったマスマーケティングは、ターゲットを絞れないので個々人に合わせることができません。それに、顧客と1対1で関われず効果測定がしにくいです。
広い認知を目的とするマスマーケティングは一方的な働きかけしかできませんが、ダイレクトマーケティングは顧客との双方向性を活用できるのが違いです。
2.ダイレクトマーケティングの流れ
ダイレクトマーケティングの流れを簡略化すると以下のようになります。
ターゲット設定
↓ 顧客に促したい行動の明確化 ↓ アプローチ方法の選定 ↓ データ収集・効果測定ツールの導入 ↓ アタックリストの作成 ↓ ファーストコンタクトの実施 ↓ 商談の展開 ↓ クロージング ↓ 継続フォロー |
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
(1)ダイレクトマーケティングを始める前に
■ターゲット設定
ダイレクトマーケティングを始める前には、必ずターゲットを明確にしてください。ターゲット設定が不十分だと効果が半減するからです。
例えば、20代女性と50代男性では好みも価値観も大きく異なります。「流行に敏感だけど金銭的に余裕のない20代女性。インフルエンサーが紹介したものに興味がある」とターゲット設定をすれば、戦略が立てやすいです。
■顧客に促す行動の明確化
次に決めるのは、ファーストコンタクトで促したい顧客の行動です。
すぐに成約につなげたいなら、目につきやすい場所に申込みフォームを設置して、時間をかけずに簡単に申込める下準備が必要です。
自社商品への興味を強めたいなら、アピールポイントを強調したり、他社商品よりも優れている点を説明する必要があります。
また、お客様にQRコードを読み取って欲しい場合は、レスポンスデバイスとしてQRコードを目立つ位置に記載しなくてはいけません。
このように、顧客に促したい行動によって、適切な営業活動が変わってきます。ダイレクトマーケティングの目的のひとつが行動の喚起です。認知の拡大だけでなく顧客がアクションを起こしやすい環境を準備することが大切です。
■アプローチ方法の選定
ダイレクトマーケティングのアプローチ法は電話、メール、SNSなどがありますが、ターゲットがインターネットの扱いが苦手な傾向があるならSNSを使うのは不適切です。お客様が接点を持ちやすいアプローチ法を選びましょう。
■データ収集・効果測定ツールの導入
次に、進捗管理と効果測定が可能な仕組みを整えるか、それらの機能があるツールを導入します。これは、適宜戦略を練り直すために情報を集める必要があるからです。検証や改善を繰り返さないと効果を最大化できません。
(2)ダイレクトマーケティングの手順
■アタックリストの作成
すべての準備を終えたら、コンタクト先のリストを作成しましょう。アプローチ法が電話なら電話番号、メールならメールアドレスを入手する必要があります。
■ファーストコンタクトの実施
リストができたら、ファーストコンタクトを行ってお客様の反応を見ます。予測を大幅に下回る結果だった場合には改善策を考えなくてはいけません。
■商談の展開
アプローチに対してのレスポンスがあった見込み顧客には、商談の展開を行います。スムーズに対応するためにできることは、よくある質問への答えを準備する、見込み度合いに応じて対応を変える、顧客ニーズの掘り下げ方(お客様への質問の仕方)を従業員に周知させる、などがあります。
■クロージング
クロージングとは顧客と契約を結ぶこと。興味を持ってもらえても、途中で離脱されるとクロージングに至りません。
十分な情報を提供し疑問点や不安をなくすのがクロージングを成功させるコツ。トータルで必要になる金額を提示したり、デメリットを補う良さがあることを説明すると効果的です。
また、契約に踏み切るタイミングが重要なので、テストクロージングを行うのも有効です。テストクロージングとは、顧客に質問をして購入意思を確認する方法。
「10%引きにしたら購入を検討されますか?」と聞いて意欲的な反応があったら、クロージングに最適なタイミングが近付いていることが分かります。
■継続フォロー
クロージングできたら、継続フォローも忘れずに行ってください。リピーターを増やすためにコンタクトをとり続けましょう。
3.ダイレクトマーケティングのメリットとデメリット
ここからは、ダイレクトマーケティングのメリットとデメリットを説明します。
(1)ダイレクトマーケティングのメリット
1つ目のメリットは、一人一人の顧客と個別に接点が持てること。例えば、申込み手続きを行った顧客にはお礼メールを送って素早くサービスを開始する、問い合せがあった顧客には質問への返答と成約を促すアプローチを行う、とそれぞれに最適な方法で関われます。
2つ目のメリットは、対面を前提としていないので生産効率を上げられること。電話やメールでのアプローチなら対面よりも大幅にコストを削減できます。コストを最小限に抑えつつ成約数を増やせるのがダイレクトマーケティングの良さです。
3つ目のメリットは、得られたデータを定量化しやすいこと。プロモーションごとに何件の問い合わせがあったかが分かるので、数値として把握でき分析が容易に行えます。購入者の年代や性別など様々な情報を入手できれば、次の戦略を立てる際に役立ちます。
(2)ダイレクトマーケティングのデメリット
ダイレクトマーケティングを始める際には仕組み作りやツールの導入といった準備が必須で、初期投資の回収までに時間がかかる可能性があります。導入ハードルがやや高いのがダイレクトマーケティングのデメリットです。
それに、結果の分析と仕組みの見直しには専門性と労力が必要です。場合によっては、専門的な知識を持つ人材の確保が必要になるかもしれません。
定期的な見直し作業はダイレクトマーケティングを成功させる大事なポイントですが、何度もテストを繰り返したり検証結果を振り返ったりと手間がかかります。
4.まとめ
ダイレクトマーケティングを行う目的は、顧客と直接つながって関係を構築すること。大量のチラシをまいたり、広告の露出を増やして認知を拡大することではありません。そのため、しっかりとターゲットを定め、事前準備を怠らないことが成功の鍵を握ります。
また、継続して関わり続けることも大切なポイント。丁寧に顧客育成をしてクロージングにつなげ、成約後もフォローし続けましょう。
医療機関勤務を経てフリーライターへ転身。起業家向けメディアへの執筆をはじめ様々なジャンルのサイトにて執筆。