ビジネスローン(事業者ローン)とは/ポイントを解説

資金調達の一つであるビジネスローン(事業者ローン)をご存知でしょうか。

ビジネスローンには、オンラインだけで手続きが完結したり、即日融資可能なものまであり、銀行や公的機関の融資に比べ利便性や迅速性に優れています。急いで融資を受けなくてはならない場合などに備えて、ビジネスローンについて理解しておきましょう。

 

1、ビジネスローン(事業者ローン)とは 

ビジネスローン(事業者ローン)については様々な定義がありますが、簡単にいうと、事業目的の資金を、一般的な金融機関からの融資より簡易な方法で調達できる金融商品です。

 

事業を継続する上ではつなぎ融資など急な資金が必要な場合がありますが、カードローンなど個人の消費者金融を利用したくても資金使途の限定により、事業目的に転用できない場合が少なくありません。そのような場合に役立つのがビジネスローンです。

 

ビジネスローンでは、銀行や公的融資と異なる各社独自のスコアリングシステムを採用することにより、機械的で迅速な審査が可能となり、結果的に短期間で融資を受けられるというメリットがあります。

 

2、ビジネスローン(事業者ローン)の審査

前述のスコアリングシステムは、決められた情報を入力するだけでその企業の信用度合いを機械的に点数化(スコアリング)することができるシステムで、多くのビジネスローンで採用されている審査法です。

 

たとえば、ネット上で申し込みできるビジネスローンの場合、決まったフォーマットに「資本の額」「事業内容」「年間売上」などの情報を入力するだけで自動的に融資の可否等が分かるものもあります。

 

このスコアリングの点数が高いほど融資枠が大きくなり、金利も低くおさえられるなど融資条件が変わってきます。

 

ただ、全てのビジネスローンでこの審査法が採用されているわけではなく、また、スコアリングだけに頼らず、これに人的審査が加わることもあります。

 

また、個人事業主の場合は事業内容や実績だけでなく、過去の支払い遅延や滞納の有無など当個人の信用状態も審査対象となる点に注意しましょう。

 

3、ビジネスローン(事業者ローン)のメリット、デメリット

では、ビジネスローンのメリット・デメリットについてみてみましょう。

 

(1)ビジネスローンのメリット

ビジネスローンのメリットには以下のようなものが挙げられます。

 

①迅速な審査が可能

②総量規制の対象外

③基本的に無担保、無保証で借りられる

④来店不要、オンラインで完結できるものもある

⑤コンビニやATMでの受け取りや返済が可能なものも

⑥土日祝日、24時間対応なども多い。

 

以下、詳しくみてみましょう。

 

①迅速な審査が可能

前述の通り、一般的にビジネスローンでは独自のスコアリングシステムを用いているため、機械的で迅速な審査が可能になります。そこで、申し込みから審査、現実に支払いを受けるまでの時間がかなり短縮できます。

 

各ビジネスローンの案内ページをみると、融資スピードは1〜2週間程度、早ければ最短即日での借り入れを謳っている企業もあります。資金調達の緊急性に応じていろいろ選べるのも魅力的です。

 

②総量規制の対象外

貸金業法により、貸金業者が行う貸付は借りる本人の年収の3分の1を超えてはならないという制限があります。これを総量規制といいます(金融庁HP 貸金業法Q&A参照)。

 

そのため、個人事業者や企業の代表者個人が消費者金融などでお金を借りようとしても、年収の3分の1に達してしまっていたら、それ以上借り入れることはできません。

 

ここでいう「貸金業者」とは、消費者金融やクレジットカード会社などを指し、銀行や労金、農協などは元々この規制を受けません。したがって、銀行で住宅ローン、農協で自動車ローンを組んでいたとしても総量規制は受けずに済みます。

 

しかし、消費者金融をはじめとするノンバンク系では総量規制の制限を受けるため、最大限度を超える借り入れはできないのです。

 

この点、ビジネスローンは基本的に総量規制の対象外なので、たとえ年収の3分の1を超えるとしても法律上は問題なく借り入れが可能になります。

 

③基本的に無担保、無保証で借りられる

どのビジネスローンを選ぶかにもよりますが、多くの場合、物的担保や保証人を不要としています。この点は、銀行や公的融資と比べて格段に重要で大きなメリットでしょう。

 

もちろん一部のビジネスローンでは不動産担保を前提にしていたり、法人名義で借りる場合に代表者個人が連帯保証人となることを要求される場合などもありますので、よく調べてから申し込むことをお勧めします。

 

④来店不要、オンラインで完結できるものも

ビジネスローンの中には、借り入れられる対象を地元事業者に限定したり、来店が必要とするものもありますが、主にノンバンク系のビジネスローンでは、来店不要、全国どこでもオンラインだけで完結できるなどのシステムを謳っているものも少なくありません。

 

⑤コンビニなどのATMでの受け取りや返済が可能なものも

ビジネスローンでは借入金の受け取り方法もさまざまで、口座振込だけでなく、一度カードを作ってしまえば、指定ATMなどでカードを使い、限度額以内であれば何度でも自由に借り入れができるサービスもあるなど、とことん利便性が追求されています。

 

このようなサービスを提供する会社では、多くの場合、全国展開している強みを生かし、系列の銀行やコンビニのATMでも借り入れや返済ができたり、さらに⑥24時間365日利用できることを売りにしている商品も多く、スピードや利便性を重視する場合には大変重要なポイントです。

 

(2)ビジネスローン(事業者ローン)のデメリット

次に、ビジネスローン(事業者ローン)のデメリットについてもみてみましょう。

 

①一般の融資に比べて金利が高い

②履歴が残るので将来の信用に影響がある

③借り入れ可能金額が少ない

④年齢制限や国籍制限がある場合も

 

①一般の融資に比べて金利が高い

一般的にビジネスローンでは、公的融資の2~6倍程度金利が高くなります。

 

②履歴が残るので将来の信用に影響がある

基本的にビジネスローンでの借り入れや返済に関する情報は利用者履歴として残ります。返済が遅れたり完済できない事態などが発生してしまうと、たとえば将来、銀行などの金融機関から融資を受ける際にとなりうる点に十分留意してください。

 

③借り入れ可能金額が少ない

ビジネスローンでは、借り入れられる金額が、多くても500万~1000万円前後で、一般的な融資と比べると少ない傾向にあります。つなぎ融資としてならまだしも、メインの資金調達方法としてはやや心もとないといえるのではないでしょうか。

 

④年齢制限や国籍制限がある場合も

借り入れに際し「20歳以上69歳以下」「完済時80歳以下」などの年齢制限や「日本国籍を有すること」などの国籍制限を設けているビジネスローンもあるため、場合によっては想定通りの融資を受けられないことがあります。

 

4、ビジネスローン(事業者ローン)の選び方

以上のようにビジネスローンは大変利便性が高く、事業を営む上で頼もしい存在です。ただ、選択肢が多く、実際にどれを選ぶかは判断が難しいところではないでしょうか。

 

まず、ビジネスローンには、主に大きく分けて「銀行系」と「ノンバンク系」のものが存在します。

 

「銀行系」とは、銀行や信用金庫など、銀行法の適用を受けた母体により運営されるものです。これに対し、ノンバンクとは、たとえば消費者金融やクレジットカード会社、信販会社やリース会社など、言葉の通り「銀行ではない」組織のことで、貸金業法の適用を受けています。

 

厳密に分類するのは難しいですが、大まかにいって、銀行系のものは審査に時間がかかったり、平日日中のみの対応だったりと、ノンバンク系に比べ審査や融資を受けるまでに時間がかかる傾向にあります。

 

これに対し、ノンバンク系では土日祝日を含め24時間365日対応していたり、全国のコンビニATMを利用できるなど、高金利ではあるが迅速性利便性に優れていることが多いといえるでしょう。

 

また、銀行では業歴2年以上かつ直近2年以上の確定申告をしていることが申し込み条件になるなど、起業後まもないスタートアップ事業者には不向きです。これに対し、ノンバンク系では創業後間もない事業者にも借り入れを認めることを謳っている商品もあります。

 

他方、銀行系の方がノンバンク系に比べると借り入れ可能金額が大きく、期間も長めで、金利もより安くおさえられる傾向にあります。

 

以上を踏まえると、起業後間もない場合であったり、資金取得までのスピードや利便性を重視するならノンバンク系、創業後ある程度経過しており、時間的余裕があって、大きい金額を長期低金利で借りたいなら銀行系がお勧めです。

 

もちろん、細かくみると例外的な場合も多く存在しますので、自分でよく調べたり、詳しいことは専門家に相談するなどして、自分に最適なビジネスローンを選ぶことが大切でしょう。

 

5、まとめ

ビジネスローンは迅速、簡単、便利に資金を調達できます。しかし、結局は借金に変わりありません。高額な利息を考慮に入れ、うっかり借りすぎたり返済期限を忘れたりすることのないよう、計画的に利用しましょう。少しでも迷ったり心配な場合には、できるだけ専門家に相談することをお勧めします。

 

執筆者:豊田 かよ (とよた かよ)
弁護士業、事務職員等を経て、現在は主にフリーのライター。得意ジャンルは一般法務のほか、男女・夫婦間の問題や英語教育など。英検1級。