人に使われるのではなく、自分自身の手で起業し、事業主としてやっていきたいと思う方も多いのではないでしょうか。ただし、起業はそれほど生易しいものではなく、数多くの企業が創業後それほどたたずに姿を消していくという現実があります。では、起業して成功するにはどのような条件を満たせば良いのでしょうか。今回は、起業で成功する人の特徴や起業を成功させるために必要な準備についてご紹介します。
起業で成功する人の特徴
近年、終身雇用制の崩壊やインターネット普及など影響を受け、起業する人の数は増加傾向にあります。しかし、起業したとしても事業を成功させ継続していくことは容易ではありません。では、どのような人が起業で成功するのでしょうか。
引用:起業する人、したい人はどのくらいいる?日本における起業環境について
起業して成功した人には、共通して次のような特徴が見られます。
- 強い目的意識を持っている
- 積極的に学ぶ姿勢がある
- 良いもの・サービスを提供する意欲が高い
- 現実的な経営プランを立てている
- 新しいニーズを見出している
以下、それぞれについて解説していきましょう。
強い目的意識を持っている
起業するにあたっては、自分が取り組もうとしている事業に対する強い信念と目的意識が必要です。自分の思い描く事業が社会に必要だという信念を持ち、広めていくための目的意識は起業を成功させるための大切な条件と言えるでしょう。
起業して軌道に乗せるまでには、様々な出来事が起こるものです。事業主は、小さなものから経営判断に関わる大きなものまで、常に決断していかなければなりません。単なる思いつきや勢いだけで起業したのでは乗り越えていくことは困難です。
様々な困難を乗り越えて前に進む原動力は、強い目的意識にあります。自分の事業を世の中に広めたいという強い目的意識が、起業を成功に導くと言っても過言ではありません。
積極的に学ぶ姿勢がある
起業が成功する要因のひとつに「知らないことを積極的に学び、取り入れる姿勢」が挙げられます。目まぐるしい技術の進歩、社会や経済の変化、コロナ禍をはじめとする誰も予想しなかった出来事など、次々に現れるハードルを越えていくためは、常に積極的に学び続ける姿勢が大切です。
常に最新のニュースにアンテナを張り、自分の事業に関することについて知識を吸収することが重要です。ただし、学びを継続するには、人の話に耳を傾けることも大切です。素直に聞く姿勢を持つことで、より深く早く話の内容が吸収されていくというメリットもありますし、人は自分の話を素直に聞いてくれる相手に好感を持つので、信頼関係も生まれます。そうすると、何かあれば協力してくれる仲間を得ることにもつながるのです。
良いもの・サービスを提供する意欲が高い
事業を続けるためには、収益を上げなければいけません。しかし、単に収益だけを目標にしていては起業して成功を収めることは難しいです。
大切なのは、収益をもたらしてくれるのは顧客であることを認識し、顧客に満足してもらえるサービスや価値を創り出すことです。
損得勘定だけを最優先していては、顧客はいずれ離れてしまいます。顧客に喜んでもらえる良い製品、良いサービスを提供する意欲が高いことは、起業で成功する人が持つ大きな特徴と言えるでしょう。
顧客に限らず、取引先、従業員、地域の人たちなど、様々な関係者に対して常に誠実に向き合うことが大切です。結果として周囲からの信頼が得られ、健全な経営を維持することができると言えます。
現実的な経営プランを立てている
事業を始めるにあたっては、あらかじめ事業計画(ビジネスプラン)を立てることが必要です。事業計画を立てる際には、具体的な「経営プラン」を盛り込むことが大切と言えます。事業を継続的に運営していくための方策、それを実現するために必要なシステムなどを明確にしておかなければなりません。
引用:【2020年専門家監修】ビジネスプラン作成術〜ビジネスプランに盛り込みたい8つの内容
思いつきやちょっとした偶然から起業を思い立ち、成功するケースもありますが、具体的な事業内容や見通しが無ければ継続するのは難しいでしょう。根拠となる数字も取り入れ、第三者に対しても説得力のある経営プランを立てておくことが欠かせません。現実を無視した事業の拡大や楽観的な利益予測は経営失敗の原因となるので注意が必要です。
新しいニーズを見出している
すでに開発され、成功者がいる分野での成功することは簡単ではないことを理解しておきましょう。すでに競争相手が多くいる状態では、後から参入しても過当競争で苦戦することが予想されます。「自分ならもっとうまくやれる」と思って起業しても、実際に始めてみると思うようにいかないケースが多いものです。
起業して成功しやすいのは、今までになかった事業や、今ある課題点を新しい手法、視点で解決していくような、新しいニーズを見出す事業です。顧客に「こういうものが欲しかった」と思ってもらえるように、新規性や独自性がある事業が新規起業の際には強みとなるでしょう。
起業を成功させるためにやるべきこと
起業を成功させるためにあらかじめしておくべきことには、以下のようなものがあります。
- 起業する目的をよく考える
- 市場・競合・ニーズの調査
- 事業計画を立てる
- 必要な資金を用意する
- メインとなる商品・サービスのブラッシュアップ
以下、それぞれについて解説します。
起業する目的をよく考える
起業する際には、目的をよく考えることが必要です。会社勤めが性に合わない、友人が起業した、儲かる気がするなど、明確な理由なく起業すると、多くの場合は途中で事業が頓挫してしまいかねません。
事業を始めるにあたっては、強い信念と目的意識が大切です。「自分の事業は社会にとって必要なもの」「多くの人に広めていきたい」といった信念と目的を持ち、実現するために何が必要なのかが明確になってきます。
まずは起業の目的をよく考え、明確にしてぶれない方針を固めましょう。
市場・競合・ニーズの調査
信念や目的だけではなく、起業にあたっては客観的・定量的な分析が重要です。進めようとしている事業の市場動向、市場規模、競合他社をはじめ、ニーズのある層についての分析などを事前にしっかり調査し、客観的データを確認しておく必要があります。
調査の結果を基にして、拠点や商材選び、商品開発・改良、価格設定、製造・販売量の決定、PR方法や販売方法の選択など、事業計画のあらゆる点に活かしていくのです。地道な市場調査に基づいて事業を進めることが、失敗の少ない事業経営につながります。
事業計画を立てる
起業にあたっては事業計画を立て、事業計画書という書類にまとめてみましょう。これは起業者の頭のなかにある計画を客観的な形でアウトプットして、確認する重要な作業です。また、融資を受ける際にも重要な書類となります。
事業計画書には、以下のような項目を盛り込むのが一般的です。
引用:日本政策金融公庫 創業計画Q&A
- 全体の構想、事業イメージ
- 具体的な事業内容(コンセプト、商品・サービスの概要など)
- 創業時の資金計画
- 収支計画
これらの大枠に加え、マーケティング戦略(市場規模、成長性、ターゲット、競合)、市場優位性(競合が真似できない独自性)、売上・利益予測、雇用・人員計画、リスクと解決策(想定されるリスク、対応方法)などについて詳細に練っておきましょう。
事業計画の作成過程で問題点や詳細が詰められていない点が見つかれば、その都度計画を練り直していくことが大切です。
日本政策金融公庫のホームページからは、新たに事業を始める時に事業計画を記入する「総合計画書」のひな型や業種別の創業計画書記入例がダウンロードできます。
引用:日本政策金融公庫 国民生活事業
必要な資金を用意する
起業にあたっては、資金が必要です。必要となる費用は事業内容により異なりますが、日本政策金融公庫の「2018年度新規開業実態調査」によれば、開業費用平均値は1,062万円となっています。
引用:日本政策金融公庫 2018年度新規開業実態調査
開業に必要な資金には大きく分けて次のようなものがあります。
- 不動産関連資金(物件取得費・テナント料、敷金・礼金、内装・リフォーム費)
- 設備投資費(設備、電子機器類、什器、備品)
- 原材料費、商品仕入れ費用
- 広告・宣伝費用
- 人件費
起業後も、事業を進めていくための運転資金が必要です。また、コロナ禍のような突発的な出来事で売上が激減することもあり得るので、売上の波を考慮した資金準備を考えておきましょう。
メインとなる商品・サービスのブラッシュアップ
事業をスタートさせる前には、メインとなる商品やサービスに対するブラッシュアップが必要です。改良の余地がないのかなどしっかり確認しておきましょう。
いくら良い商品だと考えて起業しても、ブラッシュアップ不足だと長続きしません。これで十分と油断することなく、ブラッシュアップを続けてください。
商品・サービスのブラッシュアップのためには、以下のような方法があります。
- 試作を重ねる
- 商品ラインナップの見直し(単品だけではなく全体のバランスを見る)
- ニーズ、ターゲットの見直し
- 第三者の目による評価(モニタリング)
まとめ
起業と一口に言っても理想通りにいくとは限らず、決して容易ではありません。ですが、温めてきたアイディアを形にし、多くの顧客を満足させる目的意識を持って事業を行っていくことによって、利益を含め大きなやりがいを得ることができるでしょう。安易に起業を考えるのは危険ですが、慎重になりすぎてチャンスを逃してしまうのももったいないことです。しっかりした事業計画や資金計画を立て、起業準備を進めることをおすすめします。